ICH S2 遺伝毒性研究 4

ICH S2は遺伝毒性研究についてのガイドラインです。4では結果の評価方法についてまとめています。

試験結果の評価において、偽陽性偽陰性の結果が得られる場合があります。偽陰性の結果は複数種の試験により避けることができる場合が多くなります。一方、陽性の結果を得た場合であっても、用量などによっては発がん性を生じないこともあります。遺伝毒性があっても、発がん性にはプラセボとの差がない場合や、陽性の再現性を得られない場合には、その遺伝毒性は生物学的にほぼ無視できるようです。in vitro試験では、混入物などにより偽陽性の結果が得られる場合があるため、アミノ酸コンタミ、細菌の代謝に依存した陽性結果が得られている可能性について確認します。同様に哺乳類細胞での試験では、環境や毒性の高さによる偽陽性の可能性について確認が必要です。逆に、in vitro試験で陰性の評価を得た場合には、代謝の影響・生理活性と試験系が適合しないなどの場合を除き、その時点で評価を完了させます。

in vivo試験では、遺伝毒性に依存しない小核・DNA変化などによる偽陽性の可能性を考慮に入れる必要があります。陽性の結果が得られた場合には、追加のin vitro試験、もしくは2種の適切なin vivo試験を実施し、陽性であることを再検証します。S9活性化(S9は肝臓由来の酵素で、代謝により遺伝毒性を引き起こすことがあるようです)による偽陽性についてはあらかじめ検証を行っておきます。小核が見られた場合には、遺伝毒性によるものなのか、その他の原因によるのかを検証します。

遺伝毒性試験で陰性であっても、発がん性を生じる場合もあるようです。このような場合には遺伝毒性検証時の環境や試験法を見直すことになります。