ICH S2 遺伝毒性研究 2

ICH S2は遺伝毒性研究についてのガイドラインです。2ではin vitroでの試験についてまとめています。in vitro試験はOECD guideline、IWGTレポートというものに従い実施するとされています。用いる最大用量は5mg/プレートで、沈殿性の薬物では最小沈殿量となる量(飽和濃度と同じだと思われます)で実施します。細胞毒性があるとAmesテストの結果に変化が生じるため、結果の解釈が難しくなるようです。

in vitro試験はサルモネラ大腸菌の栄養要求性変異株を薬物と同時に培養することで行います。限定培地(要求性の栄養を与えない培地)でのコロニーの発生が起きるようになることを遺伝的変異の指標として検出します。結果が明確であるならば、1つの試験で検証を済ませてもよいようです。

哺乳類の培養細胞でのin vitro実験を行う場合には、マウスのリンパ腺細胞試験(MLA、TFTという毒性物質を取り込む能力を失った細胞が増殖可能であることを利用した試験法、https://www.medience.co.jp/medichem/pdf/iden1_4.pdf)というものを実施します。MLAでは最大用量として1mMまたは0.5mg/mLの薬物濃度で実施し、細胞毒性により50%以上細胞成長(分裂?)が抑えられない濃度で試験を実施します。MLAでは代謝活性化の有無を調べます。試験には陽性対照(positive control)と陰性対照(negative control)を準備し、同時に試験を行います。3-6時間薬剤処理を実施し、1.5細胞周期ごとにサンプリングを行います。結果は小核細胞の形成、分裂中期の異常の検出で行います。