ICH M3 非臨床安全性研究 3

ICH M3は非臨床試験(安全性研究)についてのガイドラインです。3ではLocal Tolerance、遺伝毒性、発がん性、生殖毒性の内容をまとめています。この内容もS、Eガイドラインを読む前にはいまいちよくわかりませんので、いずれアップデートします。

部位特異性耐性(Local Tolerance)研究は通常の毒性研究の枠内で検証します。投与経路以外の影響の検討には単回投与が有効であるとされています。臨床的変化・観察により毒性を評価します。Local Toleranceについては第3相の臨床試験前に実施する必要があります。

遺伝毒性も単回投与で検討します。多回投与での影響の検証のため、染色体異常を観察、発生があれば検出しておく必要があります。試験は第2相の臨床試験前に完了させ、異常が見られた場合には検証、追加試験の実施が必要になります。

発がん性研究はICH S1Aで扱う内容で、発がん性が疑われる場合のみ申請に必要となります。長期臨床試験飲みが懸案である場合には必要とせず、致命的な疾患を対象とし、代替となる治療手段が無いときには承認後の検証でもよいとされています。

生殖毒性研究は、臨床試験の対象として男性・女性、女性でも妊娠可能性の有無・妊婦が選択される場合により異なります。男性の場合、多回投与毒性の検証時の実施となり、第1相、第2相に組み込んで行う形になるようです。生殖性試験は第3相臨床試験の前に完了させておきます。妊娠の可能性がない女性に関しては検証を必要としないとされています。妊娠可能な女性では、リスク/効用の評価が済むまで暴露を避けます。生殖毒性研究・臨床治験中には被検者には妊娠の可能性を避けてもらう必要があります。生殖毒性に関するインフォームドコンセントを十分に行い、妊娠の可能性を避けてもらう処理をした場合には3ヶ月までの臨床試験の実施は可能とされています。日本では臨床試験前に非臨床の生殖毒性研究は必須で、検証は承認申請前までには完了させておく必要があります。妊婦では生殖毒性/毒性研究が完了するまで投与をしません。ヒトでの安全性評価までは、妊婦を対象とした臨床試験を行うことはできません。