日本薬局方-一般試験法 7.02 プラスチック製医薬品容器試験法

プラスチック製医薬品容器試験法とは、人体に有害な物質等が容器に含まれないことを確認する試験です。複数の試験が登録されていますが、必ずしもすべてのプラスチック製容器に対してすべての試験を実施する必要はないようです。ただし、必要であると考えられるのであれば試験を追加する必要があります。水性注射剤の容器試験は専用の規格を満たす必要があります。

プラスチック製医薬品容器試験法には、強熱残分、重金属、鉛、カドミウム、スズ、溶出物試験、微粒子試験、透明性試験、水蒸気透過性試験、漏れ試験、細胞毒性試験の11個が含まれます。

強熱残分は強熱残分試験法<2.44>にしたがいます。試料として容器の切片5gを用います。重金属試験は重金属試験法第2法<1.07>に従います。鉛試験では、鉛を2つの抽出法(強熱するか、有機溶媒で溶かすか)で抽出し、測定は原子吸光光度法<2.23>で行います。カドミウムも鉛と同様の方法で同定します。スズ試験では、試料5gを硫酸/硝酸混液で溶かし、液を乾固した後にアンモニアで中和したものの紫外吸光<2.24>を測定します。

溶出物試験では、容器に水を入れ、121℃で1時間オートクレーブし、容器からの溶出を行います。この抽出液について、泡立ち、pH、過マンガン酸カリウム還元性物質、紫外吸光スペクトル、蒸発残留物をそれぞれ調べ、溶出物を評価します。

微粒子試験では、容器に0.9%塩化ナトリウム水溶液をいれ、121℃で2時間オートクレーブし、冷やした後の内容液の微粒子数を光遮蔽粒子計測装置で測定します。透明性試験では容器を直接分光光度計で調べる方法、ホルマジン標準乳濁液と水をそれぞれ入れ、5人で目視比較する方法の2つがあります。水蒸気透過性試験では容器からの蒸発と、容器への水分取り込みを評価する2つの方法が設定されています。容器からの蒸発の評価では、容器に水を入れ、14日放置して重量の減少を調べます。水分取り込みの評価では、乾燥剤を容器に入れ、14日後の重量増加を調べます。

漏れ試験では、フルオレセインナトリウム(黄色201号)溶液を満たし、上下にろ紙を置いた状態で20℃で維持し、6.9N/cm2の圧を10分かけます。ろ紙がフルオレセインナトリウムに染まっていないことを確認することで、漏れがないことを調べます。細胞毒性試験では、培養細胞、試料抽出液、培養液を混ぜ、培養細胞の増加で毒性を評価します。培養細胞としてマウス、ハムスターの細胞を用います。細胞と試料抽出液を混ぜ、100個/mLの濃度に調整した細胞懸濁液を培養プレートで培養し、コロニーの形成率を調べます。