日本薬局方-一般試験法 5.01 生薬試験法

生薬試験法とは、生薬に適用する複数の試験をまとめたものです。大きく8つの試験(鏡検、純度試験、乾燥減量、灰分、酸不溶性灰分、エキス含量、精油含量、NMRでのエキス定量)からなります。生薬試験法に用いる試料の採取方法は生薬の形により規定されています。小形のものはかき混ぜて50-250g、大形のものはかき混ぜて250-500g、1個が100g以上の大きいものは5つ、もしくは切断してかき混ぜて500g以上を取り、試料とします。分析のため、試料はできれば粉末、もしくはできるだけ細かくします。粉砕・粉末化後は気密容器に保存します。

鏡検は顕微鏡で観察することをさします。切片・粉末をプレパラートとし、透明化のために抱水クロラールを加え、透明化して観察します。

純度試験は重金属・異物・BHC/DDTの3種類を測定します。重金属は重金属試験法原子吸光光度法ICPを用いて特定します。異物は顕微鏡観察で取り除き、異物の重量を測定することで調べます。BHC/DDTは共に毒性の高い農薬です。BHC/DDTはアセトン/水混液で抽出し、ガスクロマトグラフィーで測定します。

乾燥減量は乾燥時に揮発した成分の量を挿します。試料2-6gを105ºCで5時間乾燥し、放冷した後に質量を測定します。さらに1時間ずつ乾燥させて質量を測定し、恒量となったときの減量を乾燥減量とします。灰分は試料2-4gを強熱して灰化し、灰分を測定する方法です。この灰分に希塩酸25mLを加えて煮沸し、ろ過後に残留物の量を調べるのが酸不溶性灰分です。

エキス含量は溶媒でエキスを抽出し、その量を測定するものです。エタノール・水。エーテルで抽出し、抽出物を水浴で乾固します。さらに105ºCで乾燥させた後、残分質量をエキスとします。精油含量は精油定量器という器具を用いて試料を水で煮沸し、油層として取れてくる液体の量を調べる方法です。生薬に定量指定成分(医薬品における有効成分だと思われる)がある場合には、定量NMRという方法でその量を定量する必要があります。