ICH Q3A 新規有効成分の不純物・類縁物質

ICH Q3Aは未承認の新規有効成分における不純物・類縁物質についてのガイドラインです。ガイドラインの対象は化学製剤で、生物学的製剤、放射性医薬品、生薬などは対象外となります。不純物・類縁物質の評価は科学的視点と安全性からの視点の2つから評価します。不純物・類縁物質は主に有機的類縁物質(工程や有効成分由来のもの)、無機的類縁物質(主に工程由来のもの)、残留溶媒(工程由来のもの)に分類できます。Organic impurities(有機的類縁物質)は製造中・保管中に発生し、有効成分の原料、中間体、分解産物や、製造途中に使用する試薬、触媒などに由来します。無機的類縁物質は製造中に使用する試薬、触媒、フィルター、炭などの混入物で、重金属、金属、無機塩類などが相当します。残留溶媒は製造中に使用する無機・有機の溶媒で、毒性を持つことがあります。残留溶媒に関してはICH Q3Cで取り扱いについて説明されています。

有効成分の合成・精製・保管中に発生する可能性のある類縁物質・不純物については、承認申請時に報告が必要となります。分解等の化学反応経路を調べ、同定閾値と呼ばれる値を超える可能性があるものに関しては構造を決定します。同定閾値以下でも毒性を持つものに関しては調査が必要です。類縁物質の研究資料はまとめて申請時に報告します。無機類縁物質・不純物に関しては局方記載の試験方法で調べます。規格試験として設定すべき局方試験については十分な議論の上決定し、申請時に報告します。

分析の手順についても申請時に報告が必要です。分析方法・分析法バリデーションの情報、同定閾値設定の根拠、定量限界などについてまとめます。有機的類縁物質に関しては対照となるサンプルの評価が重要となります。臨床・試験・商用ロット製造における類縁物質量について測定し、その値を報告します。各類縁物質にはインデックスを振る必要があります。品質規格として設定した類縁物質の種類と量に関してはリストとし、許容範囲を設定、規格設定の根拠の説明が必要となります。

類縁物質に関しては安全性の検証が必要です。ヒトや動物の代謝物質として存在するもの、毒性があるものには特に留意が必要となります。

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