GMP省令-衛生管理 概要

衛生管理とは、構造・設備・職員の衛生状態を管理することで、衛生問題を原因とする品質不良を防ぐことを指します。衛生管理については、GMP省令第8条に衛生管理基準書を作成することが規定されています。衛生管理についての条項はGMP省令にはありませんが、製造管理の一環として管理するように、第10条に規定があります。

構造設備の衛生管理として、次のことが挙げられています。① 清浄すべきレベルに応じて、作業場を区分する、② 区分ごとに適切な清掃の方法を設定する、③ 清掃の状態を確認し、記録する、④ 記録を責任者が確認し、保管する。①の作業場の区分については、より清潔であることを求められる作業場(たとえば無菌製剤の製造など)はより高度な清掃を、倉庫や玄関など、製品に直接触れない、製品が通過しない作業場では普通の清掃(とは言っても、家庭のそれとは違いますが)を実施することになります。

清掃の方法は、上の清浄すべきレベルに応じて、それぞれ定めておく必要があります。例えば無菌製剤製造の作業所では、無菌状態が維持されるよう無菌洗剤で洗浄し、その後殺菌を行う必要があります。さらに、清掃の頻度、清掃する場所、手順、清浄度の基準をそれぞれ設けておくことが必要です。

清掃後には、清掃の確認を実施する必要があります(洗浄確認)。清掃作業者とは別の作業者が清浄の度合いを確認・評価し、文書として記録します。清浄の状態が基準に達していない場合には、再清掃を行います。洗浄確認の記録は責任者が確認し、適切に保管します。

設備・施設だけではなく、職員の衛生状態を管理することも必要です。職員は家庭から一般的な移動手段を用いて工場に入ります。その際に雑菌やホコリなどを持ち込みます。したがって、雑菌やホコリなどの持ち込みを防ぎ、健康な職員だけが製造に従事するよう管理する必要があります。職員の衛生状態として、健康状態・更衣(キャップ・フード・服・マスク等)・手洗い・作業所への立ち入りを記録します。さらに、衛生状態の悪い職員や、外部の人が作業所に立ち入りすることに制限を設ける必要があります。これらを文書として記録し、責任者が文書を確認後、保管します。

衛生管理の一部は、薬局等構造設備規則にしたがいます。薬局等構造設備規則には、防虫・防鼠や、廃水・廃棄物の処理、作業場の構造について記載されています。これらの設備に対するルールも、作業所の衛生管理を実施する上で重要となります。

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