医療機器QMS省令 1 QMSの基礎と管理監督者

医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(Quality Management Systems、QMS省令)は医薬品のGQPに当たる省令で、薬機法第23条に医療機器の製造販売承認の条件として定められているものです。QMSでは、GQPと同様に製造管理・品質管理の方法を定め、工程順序・工程の実施方法・品質管理の判定基準を明確とし、資源や情報を使える形とすることとされています。QMSの確立・文書化・実施・維持の責任は製造販売業者にあります。QMSでは工程を監視し、問題があれば実効性維持のための措置を取ることとされています。外部委託においても工程の管理を維持するための措置が必要です。工程管理の方法はQMSの中で明確に規定しておきます。

QMSでは、品質方針及び品質目標、QMSの基準、工程管理のために必要な事項、文書化の手順と記録の方法、製品標準書を文書とし、定める必要があります。QMSの範囲、手順書の内容と文書番号、各工程の相互の関係、QMSの文書体系をQMS基準書として文書とし、同様に定めます。同様に品質管理監督文書の管理の手順についても定めます。記録の管理として、記録・識別・保管・保護・検索・保管期間・廃棄の手順を文書として定めます。

QMS業務を最上位で管理監督するもののことを管理監督者と呼びます。管理監督者は役員等であり、品質方針や品質目標を定めます。品質が維持管理されていることを確認するための管理監督者照査を実施し、適切に必要な資源を配分、利用できるようにする役割があります。製品が製品受領者要求事項(製品要求事項、医薬品の規格に類似したもの)への適合の重要性を周知し、製造販売業者内部での情報伝達の仕組みを確立することも管理監督者の責任とされています。

品質方針とは、管理監督者が定める、製品が達成すべき品質の方針のことを指します。品質方針は製造販売業者の意図に照らし、適切なものであるように設定します。管理監督者による要求事項・QMS実効性の監督を規定し、品質方針が品質目標や照査の基準となるようにします。管理監督者は品質目標を品質方針に従い決定し、品質目標達成のために必要となるQMSの計画を策定します。

管理監督者はQMS実施の責任者として、管理責任者を置きます(おそらく医薬品における品質管理責任者に当たるものだと思われます)。管理責任者はQMS実効性の維持に関する責任と権限を持ち、QMSの状態を管理監督者に報告します。

管理監督者は定期的にQMSの実効性を確認する、管理監督者照査を行います。照査の方法はあらかじめ文書として定め、改善や変更の必要性を評価します。照査の結果は記録し、保管します。照査は管理監督者照査に関わる工程入力情報を基に実施し、工程出力情報としてQMSの改善等の措置を定めます。要は、工程入力情報とは照査で調べる内容で、工程出力情報とは照査の結果による措置を指すことになります。