ICH E10 臨床研究における対照群の設定法 5

ICH E10は臨床研究における対照群(Control)の設定法についてのガイドラインです。5では、同効能有効成分を対照として用いる場合(Active control)についてまとめています。

同効能有効成分を用いる場合には、同効能有効成分との同等性・非劣性を検証する場合が多いようです(優越性も可能だと思います)。通常はランダム化・二重盲検の下での実施となります。同効能有効成分の効能は検証したい有効成分と同じであり、かつ地域の規制当局による承認を受けている必要があります。同効能有効成分を用いた場合には有効な治療を実施していることとなるため、非劣性における効能の説明が可能となります。対照群においても治療を実施じているため、治療をしないプラセボと比較すると倫理的な問題は少なくなりやすいとされています。ただし、被験薬の効能や安全性によっては倫理的問題が発生しうるようです。被験薬の効能が疑わしいときにはAdd-on(おそらく同時治療)を用いるのが望ましいようです。

Active controlでは、リスク-便益上での被験薬の優越性がある場合に結果からの説明が可能となります。非劣性試験では効能自体の有無が不明瞭となる場合がありますので、Active control自体に効能があることを示す必要があります。Active controlの効能を検証するため、プラセボを加えて研究することがよいとされているようです。用量応答性研究や、優越性研究にもActive controlは有用となります。治療を確実に実施するため、被験者の募集やIRB/IECの承認が容易となりやすく、治験の中断も起こりにくくなります。一方でプラセボを同時に検証しないと治療効果の証明ができないこと、被験者数が多くなることなどの欠点もあるとされています。