ICH E12 新規高血圧治療用製剤の臨床評価

ICH E12は新規高血圧治療用製剤の臨床評価についての項目です。実際にはガイドラインとして整備されているものではなく、ICHの基本文書となっています。完全には調和されておらず、地域のガイドラインに従うべきであるとされています。

E12の対象は収縮期・拡張期血圧への影響を効能として持つものとなります。通常は拡張期をエンドポイントとするようですが、収縮期の血圧もエンドポイントにするべきであるとされています。死亡や罹患率を主要エンドポイントとした研究は求められませんが、リスク評価は必要となります。研究対象となる患者群は本態性高血圧(Essential Hypertension)の患者で、軽度から中程度の患者を研究対象とします。重度の患者や併発症を持つ患者を対象とする場合もあるようです。併発症により器官に障害を持つような患者をプラセボ群として割り付けないようにするようです。高血圧の改善はベースラインからの変化の大きさで評価します。副次項目では適切に定義した評価値を用いることもできます。短期研究は盲検・プラセボ対照で実施し、プラセボありの用量応答性研究も推奨されています。長期研究では無治療のリスクがあるため、同効能有効成分を対照とした研究を行うようです。

高血圧治療薬では、薬力学研究を必要とするとされています。薬力学研究では、結構動態、腎機能、神経体液因子(いわゆるホルモンを指していると思われます)の影響を調べます。用量応答性研究は、ランダム化・用量を固定した状態での平行群間研究として、最低でも3用量で検証します。現行の標準治療法との比較は、プラセボ、同効能有効成分、非倹約の3-armの研究で行うのが望ましいとされています。長期研究では無治療のリスクを避けるため、プラセボ群が途中で離脱するような形で実施されるようです。安全性検証においては、高血圧患者が非常に多いため、E1での慢性投与下での安全性検証の被験者数(1500人ぐらい)では少ないとされるようです。起立性低血圧や血管・器官へのダメージを十分に評価することを必要とするとされています。併用時の影響についても、短期~長期の影響を検証しておきます。