ICH E10 臨床研究における対照群の設定法 2

ICH E10は臨床研究における対照群(Control)の設定法についてのガイドラインです。2では、研究の目的と対照群の選択についてまとめています。研究の目的として代表的なものは効能の証明となります。効能の証明では、対照群に対する優越性として示します。この場合の対照群としては、プラセボ、無処理、低用量の同有効成分、同効能有効成分のいずれかを選択します。同効能有効成分では効能の類似性(同等性もしくは非劣性)での検証も可能です。

リスク-便益評価の一環として効能と安全性を比較する場合もあります。このような場合には同効能有効成分との比較として研究を行うことが多いようです。通常は非劣性研究として実施し、効能・安全性の違いを検出できるような形の研究デザインを選択します。治療間の比較を行う場合には、適切なデザインを取ることで比較を公平に判断する必要があります。同効能有効成分との比較時には、同効能有効成分の用量・用法を適切に設定すること、対照となる治療に感受性のない患者群の取り扱い、効能・効果発生の時期・エンドポイントや測定時期の設定に配慮が必要となります。対照群との優越性研究では、感度(効果のある・なしを示すことができるかどうか)が重要となります。優越性研究では、この感度(Assay sensitivity)を示す必要があります。

同等性・非劣性研究では、感度は文献もしくは臨床研究で示します。非劣性研究では、治療効果の感度に関する文献の調査、非劣性臨床研究のデザイン策定、非劣性の範囲の設定を行った後、非劣性研究を実施します。文献調査においては、対照となる同効能有効成分の効能が確立されていることを確認します。この確立された効能に対し、非劣性の範囲(マージン)を設定します。設定した非劣性の範囲に試験製剤の信頼区間が入れば、非劣性であると説明することができます。マージンは対照となる同効能有効成分の最小効果量より明確に大きい必要があります。対照の効能の証明、効果量の大きさ、感度に従い、マージンを適切に設定します。デザインだけでなく、臨床研究を適切に実施することが非劣性の評価の質を決定します。臨床研究実施中は治療法の遵守、患者群の治療応答性、同時治療の有無、症状の有無、エンドポイント評価のバイアスなどに注意を払います。

優越性を研究では、同効能有効成分が確かな効能を持つことを示す必要があります。効能の確認のために、優越性研究においては同効能有効成分のみではなく、プラセボを同時に対照として利用した研究を行うことが有効であるとされています。