ICH E10 臨床研究における対照群の設定法 3

ICH E10は臨床研究における対照群(Control)の設定法についてのガイドラインです。3では、プラセボを対照群として用いる場合についてまとめています。

プラセボは偽薬と呼ばれることもある、被験薬と色・重さ・味・香りが同等であり、有効成分を含まない製剤です。プラセボは通常二重盲検下で用いられ、並行群間試験法・クロスオーバー法のいずれにおいても使用可能です。単用量での研究だけでなく、増進(Titration)用量、複数用量での検証においても使用可能です。投与を複数回行う場合や、有効成分を複数検証する場合などには2種以上のプラセボを利用する、Double-dummyの研究を行うこともあるようです。プラセボには有効成分は含まれませんが、治療効果や副作用が生じる場合もあります。プラセボを使用した研究では二重盲検に加え、ランダム化を使用することでバイアスを最小化することになります。プラセボには治療効果がないため、疾患の悪化や有効成分による明確な治療効果などによる盲検解除の可能性はあります。クロスオーバー法では特に同一人物が有効成分とプラセボの治療効果を比較できるため、注意が必要となります。

プラセボの使用は有効性検証には非常に有効となります。デザインや実施上に問題がある場合には有効性を示すのが困難となるため、適切なデザイン、研究の実施が必要となります。安全性の検証においてもプラセボ使用は非常に有効です。プラセボでの倫理的・実施上・推論上の問題を減らすための方法として、対照群の追加、既存治療との併用での検証、Eeary escape(治療効果がなければそこで研究を中断する方法)、プラセボ使用時期を限っておいて、途中から有効成分ありの治療に変える、ランダム化離脱等の方法が挙げられています。