ICH E10 臨床研究における対照群の設定法 6

ICH E10は臨床研究における対照群(Control)の設定法についてのガイドラインです。6では、External controlについてまとめています。External controlとは、対照群を試験群と同時に設定せず、時間的にずれたものを使用したり、文献を使用したりする場合を指します。対照群と試験群は同一とはみなせないため、バイアスを容認する方法といえます。優越性や非劣勢研究で用いられ、ベースライン(治療前)からの変化を調べるものについてもExternal controlの範疇に入るとされています。

External controlでは対照群を設定しないため、ランダム化も盲検も適用できません。文献からの対照群設定時には差が出やすいと思われるものを選択するバイアス、結果を得た後で文献から対照群を選ぶようなバイアス(通常は計画に記載するため現実的ではありませんが)も存在しえます。結果を証明するためには大きな例数で、統計的な有意性が非常に大きいことが必要となります。病状の予測性が高くないとよくなっているのか自然治癒なのかよくわからなくなりますし、効果が大きくないと自然治癒との分離が難しくなります。対照の選択、投与計画等が重要となります。External controlを使用する場合は複数のExternal controlを使用するべきであるとされています。

External controlは治療法がなく、非倹約の効果が確かであるのであれば倫理的には使用可能です。ただし、効能が明らかでない場合には致命的病状での使用は行うべきではないとされています。病状の進行がよくわからない場合にも用いません。通常はランダム化を含めた方法を取れる対照群を選択する方がよいようです。他の対照が選べないときに選ぶ、早期中断の場合にプラセボと同時に用いる等の場面では使用される場合もあります。

External controlを用いた研究では治療は確実に行われるため、患者や医師は治験参加を受け入れやすいという特徴はあります。ただし、処置間の差が測定できなかったり、効能を不必要に大きく見積もるようなバイアスを避けることはできません。