GCP省令 概要1

GCP省令(Good Clinical Practice、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令)は薬機法に定められた医薬品の製造販売承認(14条3項)、医薬品の再審査(14条4の4項)、医薬品の再評価(14条6の4項)の際に必要となる、臨床試験の結果を得るための試験の基準について定めたものです。GCP省令は6章59条からなり、治験の準備・管理・実施、資料準備、治験の依頼等について定めています。

GCP省令の目的は被検者(治験を受ける人)の人権保護、安全性保持、福祉向上と、治験の信頼性確保を目的としています。治験に関する用語についてはGCP省令の総則に述べられています。

治験の準備として、治験を依頼する者(医薬品製造販売企業などによる治験を指すと思われる)と自ら治験を実施する者(医者が治験を実施する際を指すと思われる)によるものがそれぞれ説明されています。2章1節では治験を依頼する者による治験の準備について述べられています。治験を依頼する者は治験に関する業務の手順を定めた文書(業務手順書)を作成します。治験計画書・実施医療機関や治験責任医師の選定、治験薬の管理、副作用情報の収集、記録の保存について手順をあらかじめ定めておき、その手順通りに治験を実施する必要があります。治験に用いる被験薬については治験前に品質・毒性・薬理に関する試験を完了させておきます。毒性・薬理に関しては非臨床試験による確認を終えておくということだと思われます。

手順書以外の治験の主な文書は治験実施計画書、治験薬概要書、説明文書の3つです。治験実施計画書は治験の実施内容・方法・目的についてあらかじめ文書として定めたものです。計画書は治験責任医師の合意を必要とします。治験薬概要書は治験に用いる被験薬の情報についてまとめたものです。説明文書は治験責任医師が作成する、被検者に治験の内容を説明し、合意を得るための文書を指します。作成した文書は治験実施前に実施医療機関の長に提出します。

治験の業務を委託する場合には、委託を受けるもの(受託者)との間に委託契約を締結する必要があります。委託契約には業務範囲や手順、依頼者による確認について、受託者からの報告、被験者への保障措置を盛り込みます。同様に、治験を依頼する者と実施医療機関の間でも治験の契約を結びます。