GCP省令 概要 5

GCP省令(Good Clinical Practice、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令)は薬機法に定められた医薬品の製造販売承認、医薬品の再審査、医薬品の再評価の際に必要となる、臨床試験の結果を得るための試験の基準について定めたものです。(5)は、治験の実施における治験責任医師についてまとめたものです。

治験責任医師の要件として、十分な教育・訓練を受け、臨床経験を持つこと、治験計画書・治験薬概要書に精通し、治験薬の適切な使用方法に精通していること、治験実施に必要な時間的余裕を要することとされています。治験責任医師は、治験に関わるもの(治験協力者、治験分担医師や看護師など)による業務の分担のリストを作成し、治験協力者に治験、被験薬の副作用情報について十分に説明します。

被験者となるべきものも治験責任医師が選定します。被験者は治験の目的に応じた状態にあり、同意を得た上での選定となります。同意の能力を欠くものは、治験による治療効果が致命的な状態からの回避に有用である場合など、止むを得ない場合を除き選定しないこととされています。治験の参加による健康上の利益が大きく、参加しないことによる不利益があるものには治験への参加の同意を促します。治験責任医師は被検者に対する責任として、被検者が治験薬を適切に使用していることを確認し、被験者が治験を受けることを治療中の医師に通知します。治験責任医師は有害事象に対し、被検者に通知するとともに、被検者に適切な医療が提供されるよう措置を取る必要があります。

治験計画書から治験の実施状態が逸脱した場合には、治験責任医師は依頼者・実施医療機関の長にその旨を報告します。計画書にしたがい実施された治験について、治験責任医師が症例報告書を作成し、点検・確認の上署名もしくは押印します。治験中の副作用については、治験責任医師が実施医療機関の長、依頼者に文書で報告し、依頼者・実施医療機関の長・治験審査委員会に情報を提供します。自ら治験を実施する者が治験責任医師として治験中の副作用を認めたときは、治験薬の提供者に報告します。

副作用や計画書からの逸脱により、治験を中止する場合には、治験責任医師は中止の旨を被検者に通知し、措置を取ります。治験責任医師が治験の中止を行う場合には実施医療機関の長に文書で中止する旨を伝えます。同様に、治験終了時にも治験責任医師が実施医療機関の長に文書で概要を報告します。