ICH S10 光安全性の評価 3

ICH S10は非臨床での光安全性評価に関するガイドラインです。3では光安全性検証の戦略についてまとめています。有効成分の光安全性は物質の光化学的性質の検証とin vitro/vivoでの検証、臨床試験などの結果を統合して判断します。

光化学的性質として、モル吸収係数が1000 L mol-1 cm-1を超えるかどうかをまず調べます。1000以上であれば光毒性を発現する可能性があります。1000以上で光化学的応答を調べ、問題なければ安全、活性化物質(活性酸素など)が生じればリスクが残ります。

光化学的性質を検証した後、in vitroでの光安全性検証を実施します。3T3細胞のニュートラルレッド法が一般的ですが、溶解度が低いと使用できない場合があるようです。光安全性とは独立に検証した薬物動態から光暴露の可能性が低いと判断できれば、光毒性のリスクは高くないと考えていいようです。いずれもリスクありとの結果が得られた場合には、in vivoの非臨床研究を実施します。非臨床で陽性の結果が得られた場合には、Cmax時でのNOAEL(副作用なし)の達成が可能であるかどうか検証します。リスクを無視できない場合には、臨床試験での検証を検討します。

上記の試験のうち、いずれかの試験で陰性である場合にはリスクは少ないと考えることができます。皮膚適用製剤でモル吸収係数が1000 L mol-1 cm-1を超えるときには追加検証が必須となるようです。