ICH S3A 毒物動態学: 全身曝露毒性研究 2

ICH S3Aは毒物動態学、薬物の体内動態についてのガイドラインです。2では各種毒性研究における動態についてまとめています。

毒性研究での動態学は、薬物に対する暴露が毒性へどのように寄与しているのか理解するために有用です。必要に応じて動態を検証します。サンプルは個々の動物から取ります。単回投与の試験は研究初期に実施するため、分析方法が整っていないことが多いようです。分析方法が整うまでサンプルを保管しておいてもよいとされていますが、保管する場合には有効成分の安定性を確認する必要があります。追加の毒性研究として単回投与試験を実施し、動態を追うことがあるようです。このような動態の情報は処方や処方間隔の決定に有用です。

多回投与毒性研究では、薬物動態、薬力学情報に依存して種、実験系を決定します。初回の研究ではPD、PKの情報が得られていないため、初回の試験で動態や暴露の状況を調べ、後の研究ではその動態に従って実験系を構築します。

遺伝毒性研究では、全身曝露、器官特異的暴露の2種の検証を実施します。発がん性研究では、発がん性の理解のために動態をモニターすることが有用となります。発がん性研究の主研究では、マウス・ラットを用い、動態の結果から適切な試験系を構築して実施します。発がん性主研究では、6ヶ月の動態すべてを追う必要はありませんが、その時々に応じて動態情報を得ておいたほうがよいとされています。

生殖毒性研究の実施の前に動態の情報があることが望ましいとされています。妊娠中、授乳時の動態は必要に応じて実施します。生殖の各段階での毒性、動態を検証することで生殖毒性の理解が進みます。不妊性の研究は多回投与試験で検証するとされています。妊娠中とそれ以外の動物では薬物動態が異なる場合があるため、母体・胚・胎児・新生児や、母乳中への薬物への移行を検証することも生殖毒性研究としては有用なようです。