ICH Q1B 新規有効成分・製剤の光安定性試験

ICH Q1Bは新規有効成分・新製剤の光安定性試験に関するガイドラインです。ICH Q1Aと同様に、未承認の新規有効成分・それを利用した製剤の承認申請に必要な光安定性試験がガイドラインの対象となります。Q1BはQ1Aでカバーされない光安定性について記載され、光により製品品質に許容できないような変化が生じないことを確認することを求めています。光安定性試験は基本的には1ロット、必要なら繰り返し検証します。原薬・製剤・包装形態ごとの調査が必要となります。

光安定性試験の光源にも指定があり、2つのオプションから選びます。一つはISO10977の規格にあるD65/ID65光源を用いるものです。もう一つは白色蛍光灯と紫外ランプを組み合わせて使用するものです。どちらのオプションにおいても、安定性試験環境の温度は一定に保つ必要があります。光源の波長は製造メーカーの製品情報から得てよいことになっています。

光の当て方、量、対照の準備方法にも規定があります。光の量は120万Lux-hour以上で、エネルギーが200Wh/m2以上の紫外線を照射します。光は試料の両面に照射する必要があり、対照としてアルミで包んで暗黒とし、同じ環境においた試料を用います。

有効成分(原薬)の光安定性については、2種類の試験を必要とします。1つは強い光を当てて光反応を強制的に起こす強制分解試験、もう一つは実際の取り扱い時の光環境に近い確認試験です。強制分解試験は原薬の光応答性の理解を目的とし、検出可能な分解産物、原薬の分析法のバリデーションを同時に行います。確認試験では保管時の光応答性について検証します。試験は1ロット実施し、曖昧な結果が得られた場合には2ロットの試験をさらに追加します。試料は固体、または溶液として準備し、分解産物のうち常温で気化する成分が抜けないよう工夫する必要があります。容器と原薬の反応、容器による光吸収が起こる可能性について留意します。固体試料は透明な容器に厚さ3mm以下となるよう広げ、光に十分に暴露するようにします。光反応後、試料を用いて各種試験を実施します。試験では物理的特性・定量値・分解産物の測定を行います。固体試料は代表的な部分を取って試験にかけます。懸濁品でも固体試料と同様に光の当たり方などに不均一性が生じる可能性があるため、十分に考慮して試料を準備します。

製剤の光安定性は包装なし、一次包装品(ブリスターやボトル、フィルムやアルミの袋)、二次包装品(箱など)についてそれぞれ検証します。製剤の開発時に1ロット、処方決定後に更に1ロットの試験を実施します。処方決定後の試験結果が曖昧なときは、さらに2ロット追加して試験を行います。完全遮光の包装を用いる場合(アルミの袋など)には、包装なしの条件のみ調べます。輸液や皮膚に適用する製剤では、使用中(体内での光反応、皮膚上での光反応)の影響を調べます。試料は原薬と同様に固体もしくは溶液として準備します。留意すべき事項はほぼ原薬と同じですが、試料の光暴露面積が最大となるように試料を配置し、暴露条件が各サンプルで均一となるよう留意します。製剤試料の分析では、物理的特性(経口剤では溶出性、分散性を含む)、定量、分解産物について解析します。粉末試料のときは代表的な部分を取って試験用試料とします。結果を評価し、包装資材を決定します。光に対して不安定であれば、遮光包装を検討します。有効期限内に設定された規格値を外れないことを確認します。

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