ICH Q1A 未承認の新規有効成分を使用した製剤の安定性試験

ICH Q1Aは未承認の新規有効成分とそれを使用した新規製剤の安定性試験についてのガイドラインです。このスライドでは製剤の安定性試験について説明します。製剤の安定性試験は基本的に原薬・処方での開発、研究にしたがいます。原薬や処方から予測される製剤の変化にしたがって試験項目を設定し、試験項目選択の理由を説明する必要があります。製剤では光安定性について調べておく必要もあります。最低でも1ロットに対して実施します。光安定性試験の条件はICH Q1Bに記載されています。製剤の安定性試験については、原薬のものと共有する部分が大きいです。原薬の安定性試験については以下をご参照ください。
xjorv.hatenablog.com

製剤においても、原薬と同様に最終製品と同じ処方、製法、包装、規格の最低3ロット製造品について安定性試験を実施したデータを承認申請に使用します。3ロットのうち、最低でも2ロットはパイロットスケール以上で製造します。使用するロットの原薬についてはロットが異なることが望ましいとされています。安定性試験は含量、包装形態ごとに実施します。

安定性試験の種類と適合条件はQ6、分解産物(類縁物質)についてはQ3Bに規定されています。安定性試験では保管時の変化、品質・安全性・効能への影響を調査します。試験には物理的・化学的・生物学/微生物学的観点からの試験を含みます。抗酸化剤や抗菌剤などの添加剤を使用する場合には、その機能を検証します。試験の方法はバリデートされている必要があり、方法ごとに試験回数やサンプル数は適切に設定します。

製剤の有効期限(Shelf life)は安定性試験の結果を基準として決定します。抗菌性を維持する必要のある製剤では、抗菌性を維持できる期間を有効期限設定において考慮する必要があります。抗菌性維持について検証するため、最低でも1ロットの製剤に対しては抗菌性維持の安定性試験を実施します。

製剤においても原薬と同様に試験により試験頻度や期間が異なります。長期試験では初年度に3ヶ月おき、二年目は6ヶ月ごと、それ以降は12ヶ月おきに品質試験を実施します。高温・高湿度環境で実施する安定性試験である加速試験では、最初と最後を含む最低3点で品質試験を実施します。加速試験は6ヶ月まで実施することが推奨されています。中間的試験は長期試験と加速試験の中間的な条件で実施する試験です。中間的試験では最初と最後を含む最低4点で品質試験を実施し、12ヶ月まで試験を継続することが推奨されています。

各安定性試験における保管条件は原薬とほぼ同じです。常温保存のときは長期試験を25℃/60%RH、加速試験を40℃/75%RH、中間的試験を30℃/65%RHで実施するのが基本となります。液剤では溶媒の蒸発について検証しておく必要があります。製剤でも試験に変化があった場合には中間的試験を実施します。変化があった場合の定義には様々なものがあります。半透性容器を使用する製剤では、低湿度環境下での溶媒蒸発についても検証します。冷蔵保存のときは長期試験を5℃、加速試験を25℃/60%RH、冷凍保存の場合は-20℃での試験を実施します。安定性のコミットメント、評価法、ラベル記載についても、原薬のそれと同様です。

https://app.box.com/s/r0zkzb1igwvzryqbmn00y5pkp7vq65wv