日本薬局方-一般試験法 4.05 微生物限度試験法

微生物限度試験法は、非無菌製剤に適用する、医薬品に含まれる微生物の量の限度試験のことです。無菌製剤には無菌試験法<4.06>を適用します。微生物限度試験法には生菌数試験と特定微生物試験の2つがあります。生菌数試験では菌の種類を問わず、増殖可能な菌の数を調べます。特定微生物試験では菌の種類を特定し、存在を調べます。

生菌数試験で調べるのは、中温性の好気的細菌と真菌です。この試験は有効成分が菌である場合には適用しません(ビオフェルミンなどが典型例)。この試験との同等性を確保した試験法であれば、試験を自動化することができます。正しく生菌数を評価するために、菌の生育を妨げる可能性のあるものはできるだけ取り除いて試験を行います。

生菌数測定法には3種類の方法があります(メンブランフィルター法、かんてん平板法、最確数法)。通常は前者2つを用います。最確数法(MPN)は菌数が非常に少ないときに有効ですが、定量性は高くありません。生菌数試験の適格性評価のために、日局に指定された試験菌を使用します(黄色ブドウ球菌緑膿菌、枯草菌、カンジダ菌、コウジカビ属の菌)。生菌数試験に用いる試料は、その形態に応じた方法で調整します。メンブランフィルター法では孔径0.45μmのフィルターに試料を通し、フィルターに残った菌を洗浄、取得して寒天培地に広げ、培養することで生菌数を調べます。寒天平板法は試料を直接寒天培地に塗布する方法です。MPN法では、試料の希釈系を液体培養し、試験管での増殖を目視確認することで菌の量を推定する方法です。前者2つが直接菌数の影響を受けるのに対し、MPN法は感覚的な部分が多く、その定量性は低くなります。使用する寒天培地によって、総好気性微生物数(TAMC: Total aerobic microbial count)と総真菌数(TYMC: Total combined yeast/moulds count)を調べます。結果はCFU(寒天上のコロニー数)によって調べます。試料の量当たりのCFUが規格値より低ければ適合となります。

特定微生物試験では、医薬品に特定の種類の微生物が含まれないことを確認します。試験の対象となる菌は、胆汁酸抵抗性グラム陰性菌大腸菌サルモネラ菌緑膿菌黄色ブドウ球菌・クロストリジア・カンジダの7つです。それぞれの菌について、培養法、培地、試験法、判定法が規定されています。