日本薬局方-一般試験法 3.05 収着-脱着等温線測定法及び水分活性測定法

収着-脱着等温線とは、ある温度における試料による水の吸収(収着)と放出(脱着)が起こる相対湿度を指します。収着は、固体試料表面における水と試料の相互作用を示す吸着と、固体内部への水の浸透を示す吸着をあわせたものです。収着-脱着等温線は試料の水を吸いやすさを示す指標となります。相対湿度とは、その温度での飽和水蒸気圧に対する系の水蒸気圧の比です。乾燥した試料を既知の温度、相対湿度に置き、水分の吸収を測定することでその温度・湿度での収着を測定することができます。逆に、水を収着した試料の回りの相対湿度を下げることで、試料からの脱着(乾燥しやすさ)を調べることができます。収着-脱着等温線は自動的に試料周辺の相対湿度と質量を測定する機械が用いられます。収着と脱着は異なる相対湿度で起こる(ヒステリシス)を起こすことがあります。ヒステリシスの原因として、試料の空隙率、凝集、水和物の形成、結晶多形などが上げられます。一般的に多孔質の固体、非晶質は水を吸いやすい(収着量が多い)性質を持ちます。高分子鎖の構造変化などがヒステリシスの原因となることもあります。

水分活性とは、ある一定の水分を持つ試料を独立した系に維持したときの、系の相対湿度を指します。収着-脱着等温線と同様に、水分活性も試料の水を吸いやすさを示す指標となります。収着-脱着等温線と同様に、水分活性も温度によって変化します。

試料を入れた系の湿度は露点・冷却鏡法で測定します。露点・冷却鏡法とは、鏡の温度を下げ、結露したときに鏡の反射光が減衰するのを利用して湿度を測定する方法です。