日本薬局方-一般試験法 4.01 エンドトキシン試験法

エンドトキシンとは、グラム陰性菌の外膜に存在するリポ多糖類のことで、ショック症状や発熱などを引き起こします。注射剤などでは、製剤にエンドトキシンが含まれないことを確認する必要があります。

エンドトキシン試験法では、カブトガニの血球抽出成分であるライセート試薬を用います。ライセート試薬はエンドトキシンと反応してゲル化する性質を持ちます。このゲル化の状態を調べることで、試料にエンドトキシンが含まれていないことを確認します。試験に用いる器具は基本的に乾熱滅菌し、プラスチック製器具はエンドトキシンフリーのものを用います。試液へのエンドトキシンのコンタミネーション(混入)を防ぐためです。試料、標準溶液もエンドトキシンフリーのものを用います。

試料の準備の際には、最大有効希釈倍率をあらかじめ計算しておきます。最大有効希釈倍率は検出可能な発熱を起こす投与量あたり、体重1kg当たりのエンドトキシン量を十分に含む試料の希釈濃度のことです。

測定方法には2種類があります。1つはゲル化法で、ゲル化を物理的に評価する方法、もう一つは光学的定量法で、濁度・発光基の遊離を光学的に調べる方法です。後者のほうがより定量的な評価となります。ゲル化法ではゲル化したライセート試薬が容器から流出しないことを指標として評価します。ゲル化法での試験の精度を担保するため、ライセート試薬の表示感度確認試験、反応干渉因子試験をあらかじめ行います。ライセート試薬の表示感度確認試験では、最大有効希釈倍率を計算したときのλに当たる数値を試験で確認します。ライセート試薬をエンドトキシン標準溶液の希釈系と等量混和し、37℃付近で60分程度静置し、ゲル化を起こします。ゲルを反転させたとき、流出しなければゲル化している状態になります。ゲル化が0.5λ-2λのエンドトキシン濃度で起こることを確認します。反応干渉因子試験は、試料に反応に干渉してゲル化を妨げるものが含まれていないことを確認する試験です。試料を用いた試験法には限度試験法と定量試験法があります。限度試験法では試料溶液と陽性・陰性のコントロールを比較し、エンドトキシンが含まれないことを確認します。定量試験法では試料とエンドトキシンの希釈系をつくり、それぞれライセート試薬によるゲル化を測定し、より定量的な評価を行います。

光学的定量法にはエンドポイント法(反応終点での濁度を測定する)とカイネティック法(濁度の経時変化を測定する)方法があります。試験は上記のゲル化法と同じで、容器をひっくり返して評価しないことが異なります。光学的定量法の予備試験として検量線、反応干渉因子試験を行います。検量線では相関係数が0.98以上となることをあらかじめ確認し、定量に用います。