日本薬局方-一般試験法 3.04 粒度測定法

粒度測定法とは、医薬品原薬、添加剤、製造中の製剤中間製品など、粉末や粒体を構成する粒子の大きさの分布を測定する方法です。粒度にはその粒子の外観、形状などの性質も含まれます。顕微鏡、ふるい、レーザー回折などを用いて測定します。

粒度測定法の第1法として、日局には光学顕微鏡による観察が記載されています。光学顕微鏡により肉眼、写真観察を行います。デジタル画像を用いて画像解析により、粒子のサイズや形を調べる方法も一般的です。顕微鏡法は1μm以上の粒子に適用することができます。観察は単純で、粉末・粒体を平板に置いて広げ、観察します。

ほとんどの場合、粉末・粒体を構成する粒子は球形ではありません。そのため、粒子の形状によらずそのサイズを測定するための方法が複数存在します。さらに、原薬などの場合にはその粒子の形状を性状として記載するものもあります。このような場合には、日局に示された粒子の形と定義に基づき、その粒子の形状の名前を記載します。さらに、粒子同士の凝集の様子、状態などを示す言葉が日局に記載されており、その定義にしたがい表現に用いることもあります。

粒子測定法の第2法はふるい分け法です。ふるい分け法はその名の通り、ふるいを通るか通らないかで粒子のサイズを分け、サイズごとにその重さを測定する方法です。ふるい分け方では目開きの大きい篩を上、目開きの小さい篩を下に置き、その上に試料を置いてふるいにかけます。ふるいの通し方は機械的方法と呼ばれるものが一般的で、この方法は75μm以上の粒子の計測に適しています。機械的方法以外にエアージェット、ソニックシフター法と呼ばれる方法もあります。ふるい分け法には試料がたくさん(25g以上)必要となるため、試料が少ない場合には適用することができません。さらにふるいが目詰まりすると正確に分けることができず、目詰まりを起こしやすい油性・付着性の粒体には適しません。

試験用ふるいのリストは日局に記載されています。この日局記載のふるいはISOやJISの規格に準拠したものです。医薬品製造ではふるい番号(おそらく日局記載のみで、JISやISOにはない)を用いることも多いです。粒度測定法に用いるふるいにはその目開きを確認するための校正が必要です。

ふるい分け法の試料は通常25-100gで、直径200mmのふるいを用いてふるい分けします。ふるいはふるい振とう機で機械的に揺すり(機械的方法)、サイズで分級します。各ふるいのふるい上残物の質量変化が5%、もしくは0.1g以下になる点を振とう終点とします。機械的方法では、5分間振とうを行います。振とう後、ふるい上に残った試料の質量を測定し、その質量と径の分布を粒度とします。より細かい粒子にはエアージェット、ソニックシフターなど、気流を用いて半強制的にふるい分けする方法を用いることもあります。

粒子計測法には、レーザー回折を用いた方法もあります。レーザー回折法はその名の通り、粒子による光の回折とその強さによって粒子径を測定する方法です。このレーザー回折法は日局(第17改正日本薬局方)には記載がありませんが、原薬粒子径の測定などでは一般的に用いられていると思われます。方法はISO、JISで規定されており、測定範囲が早く、測定が早いことが特徴です。