流動層造粒2

流動層造粒は粉体を吹き上げて流動させ、その流動している部分にスプレーを吹きかけつつ乾燥させることで造粒する方法です。2では、流動層造粒に関する各要素と造粒の状態についてまとめています。

流動層造粒では、スプレーで粉体を濡らし、濡れた粉体同士が結合することにより造粒物が成長していきます。開始直後は濡れが少なく、ゆっくりと造粒が進み、濡れが十分になると造粒速度は上がります。粉体同士の結合は溶媒である水と結合剤により起こります。粉体の吹き上げと流動により、弱い力で結合している粉体同士は離れ、解砕されます。

流動層造粒では多くのパラメータが造粒状態に影響を与えます。仕込量自体が解砕力や生産能力を決定し、スプレーの数や位置、スプレー速度やアトマイジングエアは粉体の濡れ具合や粉体の温度に影響を与えます。送風量や送風温度は粉体の流動や温度に影響することで造粒状態を変化させます。

どのような造粒方法においても、処方自体は造粒に大きな影響を与えます。水溶性原料を使用すると水を付着し、乾燥しにくくなるため造粒が進みやすくなります。表面積が大きい原料ほど造粒物は小さくなる傾向になるようです。スプレーの結合液濃度は2-5%が一般的ですが、結合剤を粉のまま原料として加えることもあります。この場合には造粒物が成長しやすくなります。

送風量や露点、温度も造粒に大きな影響を与えます。露点は通常外気取り込み時に管理するため、ほぼ無視できます。風量は粉が吹き上がり、流動するように設定します。流動は造粒が進み、造粒物の重量が増えると起こりにくくなるため、造粒とともに除々に風量を上げていく必要があります。送風量と温度が製品温度を決定し、乾燥速度に影響を与えます。

スプレー量は潜熱による温度低下に影響を与えるとともに、粉体の濡れを進めることで造粒速度を決定します。スプレーミストが大きいほど乾燥しにくくなり、粉体の濡れ・造粒が進みます。スプレーミストのサイズはアトマイジングエア(液体をミストにするための圧空)とノズル自体の形状によって決まります。造粒では、造粒物の粒子径に対するスプレーの粒子径の比が重要となり、大きいほど造粒が遅く、小さいほど早くなります。

流動層造粒のスケールアップでは流動層・粉体の温度・湿度が重要な要素となります。スケールアップでは通常風量が増加します。そのため、入力する熱量と、スプレー潜熱による熱の損失を計算する必要があります。スケールアップ後には粉体を吸引輸送(空気輸送)することが多いため、空気輸送の効率自体も検証しておく必要があります。粉体量が多く、重みが増すと、粉体の重量による圧密が起こるため、造粒物の性質が変化することもあります。