流動層造粒1

流動層造粒は粉体を吹き上げて流動させ、その流動している部分にスプレーを吹きかけつつ乾燥させることで造粒する方法です。医薬品製造では一般的に使用されています。流動層造粒では、粉体を加温しつつ吹き上げて混合し、結合剤溶液をスプレーでふきかけつつ乾燥させ、粉体同士をつなぎ合わせて粒にしていきます。規定のサイズまで粒が成長したら十分に乾燥させ、次工程の中間製品とします。流動層造粒では間隙が多く、密度の低い、均一なサイズの造粒物を作ることができます。

流動層造粒機にはトップスプレー型、ワ-スター型、転動流動層型の大きく分けて3種類があります。トップスプレー型(横からスプレーする場合もあります)は最も一般的に用いられている流動層造粒機で、結合剤を上からスプレーで吹きかけます。原料は容器下部から熱風で吹き上げ、舞い上がった粉体にスプレーがかかります。上部には排気口とフィルターが装着されており、フィルターで原料が抜けていくのを防ぎます。スプレードライとして用いられることもあるとされていますが、ごく稀にしかスプレードライには用いられず、通常はスプレードライにはスプレードライ専用機が用いられます。

ワ-スター型は流動層中央に筒があり、筒の内部の粉体を吹き上げる構造の流動層造粒機です。ワ-スター型では粉体は筒の中を上部に向かって舞い上げられ、スプレーは舞い上げられる下側から吹き付けられます。スプレーでは通常アトマイジングエアと呼ばれる、液体をミストにするための送風が行われているため、下からの熱風に加えてスプレーに入る空気も粉体を吹き上げることになります。原料は筒の中央から外側へ移動し、筒の下側にある隙間から筒の中に入り、吹き上げられるという流れ(流動)を持ちます。ワ-スター型は微粒子コーティング(粉体同士をつなぐのではなく、粉体の表面にフィルム層などを作る工程)によく用いられます。

転動流動層型はトップスプレー型の流動層造粒機と類似していますが、粉体をかき混ぜるための羽根がついているのが特徴です。かき混ぜることでせん断力が発生し、大きくなりすぎた造粒物を小さくする効果が得られます。かき混ぜるため、粉体は比較的圧密され、密度が高くなりやすくなります。微粒子コーティングにも使用されるタイプの流動層造粒機となります。

流動層造粒機はスプレーを除くと乾燥機としても使用できます。医薬品製造では、湿式造粒の多くはこの流動層乾燥機で乾燥されています。流動層乾燥機では熱風を下から吹き付けてかき混ぜながら乾燥させるため、造粒物が小さくなり、速く乾燥する特徴を持ちます。連続生産などでの乾燥はほぼ流動層乾燥機のみで行われます。

流動層では、スプレー液の乾燥に伴う潜熱(蒸発熱)と温風の顕熱(加熱)のバランスが重要となります。容器からの熱の損失や、排熱による熱の損失も計算に入れ、造粒中の温度を計算・管理します。一般的に温度が高いと水分が少なくなり、造粒は進まなくなります。逆に温度が低いと水分が多くなり、粉体同士がくっつきやすくなるため、造粒は進みます。微粒子コーティングでは粒同士の結合をさけるため、温度を高めに設定します。熱計算と同様に水分量の計算も行い、その製剤に適した温度・水分での造粒を行い、望ましい造粒物を得られるよう調整しつつ製造を行います。