湿式造粒2 湿式造粒の基本的事項

湿式造粒の工程デザインとして、造粒機・パラメータ・造粒の量などについてまとめています。湿式造粒では、有効成分や添加物の性質、使用機器、工程パラメータ、造粒終点などが工程のデザインに影響します。個々の要素を理解し、各ステップが造粒物に与える影響を考慮することが重要となります。

造粒機は処方や有効成分の性質に従い決定します。水にふれると不安定になる有効成分では流動層(や乾式、直打)が望ましいとされています。造粒終点での粒度が不安定な場合にも流動層が有用です。造粒原料がふかふかしていて、かさ密度が低い場合には撹拌造粒が望ましく、コスト的にも撹拌造粒が流動層より有利となります。流動層では溶出速度が高めになりやすいため、溶出を下げる必要があれば撹拌造粒のほうが良いとされています。

撹拌造粒の工程パラメータとしては、造粒原料の量、加水時間、撹拌羽根の速度、造粒原料の温度、加水方法やスプレー速度、造粒機のデザイン、乾燥や整粒の方法、チョッパーの速度、造粒原料の体積など、多用なものが設定可能です。複数ロットを連続製造する場合には、熱や原料の残留の影響を考慮します。

造粒原料の量は造粒物の密度に影響します。造粒物の量が多いと、下部が重みで圧密されるため、造粒物の密度が高くなります。加水すると密度が上がり、さらに加水すると造粒物の密度は下がるようです。期待する造粒密度と生産効率を考慮して原料の量を決定します。

湿式造粒における加水時間の影響は処方や機器により異なります。乾燥においては静置して乾燥する場合と比較し、流動層乾燥機では造粒物が細かくなる傾向があります。錬合速度が速くなると造粒物は荒くなり、錬合時間とともに錬合に必要となる力(トルク)が上昇していきます。

造粒中の温度が高いほど、造粒が進みやすくなります。温度は日中温度の季節変化などの影響を受けるとされていますが、日本の製造所では通常作業室の温度はコントロールされているため、外気温の影響はほぼないと考えて良いかと思います。錬合時間が長くなると粉体に加わるエネルギーが大きくなり、除々に造粒物の温度が高くなっていきます。

造粒物への加水は2種類あり、液体をそのまま加える場合とスプレーで加える場合があります。スプレーで加えたほうが均質で、細かい造粒物が得られる傾向があります。そのまま加えた場合には粉体の濡れ具合に不均一性が生まれる場合があります。スプレーを用いる場合には、スプレーの液滴サイズとスプレーから粉体までの距離が造粒物の質を決定する重要な要素となります.