固形経口製剤の製造: 造粒

固形経口製剤の製造のうち、製造の最初の工程である造粒についてまとめています。固形経口製剤の原料となる有効成分は溶解性を高めるために通常細かい粉体となっています。有効成分のみだと細かすぎ、その後の工程での取り扱いが困難となるため、賦形剤や結合剤、水などを用いて、粉同士を結びつけ、粒とする工程が造粒です。粒としたあとには通常乾燥や、粒の大きさを揃える整粒の工程を含む場合が多くなります。造粒には水を使わないもの(乾式)や、そもそも造粒しない場合(直打や散剤)もあります。

GMPに規定されている製造指図に従い、処方どおりに秤量された原料を用い、製造工程が開始されます。湿式の造粒では、結合剤として水やエタノールに溶解・分散させたセルロース系の化合物を用いることが多いため、まず結合剤を溶媒に溶かす工程が入ります。結合剤を溶かした液(結合液)を用い、湿式の造粒である撹拌造粒、流動層造粒、押出造粒や、乾式造粒の工程に移ります。

撹拌造粒は粉体である原料と結合液をかき混ぜ、粒を成形する方法を指します。通常は粉に結合液を加え、練って、細切りにすることで粒とします。機械としてはバーティカルラニュレーターと呼ばれるようなものが代表的です。練って造粒するため、比較的密度の高い粒となります。撹拌造粒機には乾燥の機能はないので、通常別途乾燥工程が必要となります。

流動層造粒は粉体を下から送風で吹き上げ、吹き上がった粉体にスプレーで結合液をかけることで造粒する方法です。通常は高温の空気で吹き上げることで、造粒しつつ乾燥させる工程となります。スプレーを用いずに乾燥のみに用いる方法も一般的です。流動層造粒では比較的密度の低い、ポーラス(間隙の多い)粒体ができます。

押出造粒は粉体と結合液を混ぜ、網から押し出して粒にする方法です。網のサイズにより粒のサイズが決まります。押出造粒では粉体と結合液を強く練るため、非常に密度の高い粒ができる傾向にあります。造粒物は細粒剤や粒剤などに用いられる場合が比較的多くなります。

乾式造粒は粉体を圧縮して板状にし、板を粉砕することで粒とする方法です。粉砕時の網のサイズが粒のサイズを決定します。圧縮時の圧力により、粒の硬さを調整することができます。乾式造粒は水を使わないため、水に弱い有効成分でも使用でき、乾燥を必要としないことが特徴です。

湿式造粒では通常溶媒を使用し、製品には溶媒が含まれない状態にすることが一般的です。従って湿式造粒では溶媒を乾燥させる乾燥の工程が必要となります。流動層乾燥機を用いる乾燥が医薬品製造では最も一般的です。製剤により必要となる乾燥の度合いが異なるため、乾燥後の水分を最適とするよう乾燥の方法や時間を設定します。

造粒物は通常望ましいサイズより大きいため、粒のサイズをやや小さくするため、整粒機と呼ばれる粒の表面を削るような機械を用います。整粒機にかけたあと、粒のサイズを揃えるために通常ふるいにかけます。ふるいにかけ、粒のサイズが揃った造粒物が得られるとよいとされています。