添加剤: 滑沢剤

滑沢剤は造粒・混合物が打錠の杵や臼にくっつくのを防ぎ、剥がれやすくするための添加剤です。通常はステアリン酸脂肪酸)の塩を用います。タルクや硬化油も滑沢剤として用いられることがあります。通常混合工程の最後に加えられますが、混ぜすぎると滑沢性や錠剤硬度が下がり、混ぜないと付着性が十分にならない成分となります。滑沢剤は基本的に油脂なので、錠剤に加えすぎると溶解性が低下します。

ステアリン酸マグネシウムは最も一般的な滑沢剤の一つで、処方の1%以下程度加えられるものです。分散性がよく、滑沢性も高い添加剤です。ただし、混ぜすぎた場合には上記の影響が出やすくなります。ステアリン酸カルシウムも同様の性質を持ちますが、分散性が悪く、粒状となって残りやすい性質を持ちます。塩ではないステアリン酸を用いる場合もありますが、ステアリン酸マグネシウムと比較するとごく稀です。

タルクは滑石とも呼ばれる、水酸化マグネシウムとケイ酸塩の混合物で、通常鉱石として採掘・粉砕されたものを使用しています。ファンデーションなどでは頻用されているようです。滑沢剤として用いられることもありますが、造粒物の流動性確保や、糖衣のかさ増しとして用いられることがあります。

硬化油はその名の通り固体化した油で、硬化ヒマシ油などを用いる場合があります。滑沢性の問題からステアリン酸塩などと比べると使用頻度は低くなります。硬化油は温度を上げて造粒や皮膜などに用い、ワックスマトリックスや乾式コーティングなどに用いられる場合もあります。