添加剤: 安定化剤等

安定化剤とは、酸化しやすい有効成分の保護のために加える還元剤を指します。有効成分より先に酸化のターゲットとなることで有効成分の酸化を防ぎます。光に弱い有効成分では光による酸化が起こるため、特に重要となります。

没食子酸プロピルは薬添規記載の酸化防止剤で、水に溶けにくいため油脂等の酸化防止に用いられる成分です。有効成分はだいたい水と親和性が悪いため、有効成分保護のために比較的よく用いられる成分となります。経口の摂取許容量があるため、少量だけ用いられています。トコフェロールは脂溶性のビタミンであるビタミンEです。ビタミンC(アスコルビン酸)と同様に酸化防止剤として用いられるものです。

医薬品には防腐剤を加えることで菌の繁殖を抑えているものもあります。このような防腐剤の代表としてはパラオキシ安息香酸エステルがあります。安息香酸メチルや安息香酸プロピルが代表的で、安息香酸プロピルのほうが抗菌活性が高い成分となります。

有効成分の酸化防止のため、有効成分に光が当たらないようにする色素を医薬品に加える場合があります。このような色素にはタール色素がありますが、タール色素より光防護性が高い酸化鉄や酸化チタンなどを用いる場合も多いです。三二酸化鉄はFe2O3のことで、薬添規記載の赤褐色の色素です。黄色を呈するものもあります(黄色三二酸化鉄)。いずれも水に溶けないため、使用時にはよく分散させて用います。二酸化チタンは局方記載の白色色素で、皮膜錠では最も一般的に用いられる光防護性の色素です。光防護性が非常に高く、ほとんどの光を反射します。レーザー光により二酸化チタンの酸素に欠損が入ると黒色を呈する性質があり、この性質を用いてレーザーによる錠剤印刷が行われます。