固形経口製剤の製造: 印刷と選別

印刷と選別は錠剤の識別性を高め、外観異常を取り除くために行われる工程です。

錠剤の印刷では、錠剤に直接表示を加えます。印刷技術の発達以前は刻印を用いることが一般的でした。しかし、打錠や皮膜の問題が起こりやすいこと、視認性が良くないこと、文字数が少なくなることから刻印は避けられるようになり、印刷が主流となっています。錠剤には製品名や用量が表示されます。選別は外観不良錠を選り分け、取り除く工程です。割れや欠け、異物を含む錠剤などを取り除きます。通常包装の前に実施され、機械選別後に人の目視で確認することが多い工程です。

錠剤印刷にはオフセット、インクジェット、レーザーの3種類があります。オフセット印刷hあ、ローラーに刻まれた溝にインクを埋め、ローラーを錠剤に押し付けることでインクを錠剤に転写します。ローラーを錠剤に押し付ける際に汚れがつきやすく、印刷のデザインごとにローラーが必要となります。現在では後述するインクジェットに置き換えが進んでいます。

インクジェットはPCのインクジェットプリンタと同じく、インクを錠剤に吹き付ける方法です。インクには可食性の専用顔料を必要とします。インクが飛んで錠剤の汚れとなることがありますが、オフセットよりはきれいに印刷できます。印刷デザインはPC等で作成し、ファイルとして機器に登録します。

レーザー印刷はレーザーを用いて、錠剤を黒く変色させる方法です。変色は二酸化チタンの酸素に欠落を起こすことで起こるため、安全性の高いものとなります。二酸化チタンの欠落を利用するため、二酸化チタンを用いた皮膜錠のみが印刷の対象となります。インクによる汚れは発生せず、顔料も必要がないという特徴があります。

印刷においても選別においても、錠剤の輸送システムが重要となります。錠剤の表裏を揃え、列を形成して輸送することで個々の錠剤の印刷や選別が可能となります。輸送システムには通常回転するドラムが用いられ、ドラムに錠剤を吸い付けることで錠剤を並べ、輸送することを可能としています。錠剤をうまく並べ、吸い付けるためには錠剤の形状やサイズに合わせたドラムが必要となります。

選別では、錠剤をカメラ等で撮影し、錠剤の形状や汚れ、異物などを検出し、不良錠を除きます。錠剤の両面をチェックする必要があるため、両面を調べるための輸送路(ドラム)やカメラを持ちます。同様の選別機能は印刷機にも備わっていますが、選別は印刷とは別途実施する場合が多いと思われます。