固形経口製剤の製造: 包装

包装は錠剤をブリスターやボトルに詰め、箱詰めし、ラベルや添付文書を添える工程です。錠剤を包装することで、光や酸素などが有効成分に与える悪影響を減らし、安定性を高める効果があります。

包装のうち、錠剤をプラスチックとアルミ箔で包む方法のことをブリスター(PTP: Push Through Package)と呼びます。薬局やドラッグストアで販売されている多くの錠剤はブリスターで提供されています。ブリスター包装では、まずプラスチック素材を金型で加熱・成形し、錠剤を投入するポケットを作ります。ポケットに錠剤を入れた後、アルミフィルムをプラスチックに重ね、加熱圧着することで包装します。プラスチックフィルムとしては塩化ビニルやポリプロピレンなどが用いられます。素材や製品によってその防湿性・遮光性・成形性が異なります。通常薄いほどフィルムは柔らかく、錠剤は取り出しやすくなりますが、防湿性や遮光性は低くなる傾向にあります。製剤の安定性などの性質を考慮して素材を選択することになります。アルミニウムフィルムに関しても同様にその製品により透過性などが異なります。通常アルミの層と印刷層から成り、印刷層には製品名や企業名が印刷されていることが多くなっています。アルミをプラスチックと加熱圧着する際に裂けることがあるため、厚みと加熱圧着時の温度・圧力の調整が重要となります。

包装の表記や添付文書に関しては、薬機法52条の規定の通り表示・同封の義務があります。ブリスターやボトルを箱詰めする際に添付文書を添付し、箱にも情報を表記することが一般的です。包装まで完了した後、出荷試験が実施され、出荷試験の結果規格に適合していることを品質保証部門が承認した後に医薬品は製品として出荷されます。