ICH M10 生物学的分析法バリデーション 5

ICH M10は生物学的な分析方法に対するバリデーションについてのガイドラインです。バリデーションの種類や方法、報告について述べられています。5はリガンド結合測定法のバリデーションについての続きになります。

リガンド結合測定のバリデーションにおける正確性と精度は、既知濃度の検出対象を含むQCサンプルを準備して確認します。検量線作成用のものとは独立のQC希釈系を最低5つの濃度で準備し、各3回ずつ測定して 調べます。測定は6回以上、2日以上の測定期間をかけて調べます。個々の測定での正確性と精度がバリデーションとしての報告対象となります。

リガンド結合測定では、キャリーオーバーは通常問題とならないため、バリデーションの対象としない場合もあるようです。測定系の特徴としてキャリーオーバーを無視できない場合には、検量線用の上限濃度サンプルの後にブランクを測定し、持ち込みを評価します。リガンド結合測定では通常測定の範囲が狭くなるため、希釈して測定することが必要となります。希釈時の直線性を確認しておくことで、希釈によるシグナルの変化や高濃度測定でのシグナルの抑制(フック効果)が起こらないことを確認しておきます。サンプルなどの安定性も評価対象となります。

バリデーション完了後にサンプルの分析を行います。サンプル分析はブランク、検量線、QCサンプルを2セット測定してから行います。測定はおそらくマイクロプレートなどを用いて行われるため、個々のプレートに1セットの検量線サンプル、QCサンプルサンプルを含めて検証するようにします。分析時の結果の受け入れ条件、棄却条件はあらかじめ計画書やSOPに定め、その方法に従って行います。クロマトグラフィーと同じく、最低でも2つのQCが検体の濃度範囲に収まっているように準備します。検量線の片側に検体の濃度がかたよっているようなときには処置が必要となります。サンプルの再分析についてもクロマトグラフィーのそれと同様に行います。