ICH E9 臨床研究における統計解析 7

ICH E9は臨床研究における統計解析の原則に関するガイドラインです。7では統計評価、臨床データベースについてまとめています。

安全性の統計的な評価は多元的であり、難しいとされています。多元であるというのは、AE自体の幅、種類が多いことを指していると思われます。計画書逸脱を原因とするAE(Adverse Effects、危害事象)はバイアスとなりえます。報告では記述的な統計に関する説明、信頼区間からの説明、グラフ等を利用して統計的な評価を行います。安全性の評価においても、統計的検定におけるp値を用いた差の評価が有用となる場合もあります。仮説検定を用いる場合には多重比較を行う場合の第二の過誤を重視することが推奨されています。研究室データでは、定量的・定性的分析の両方を行います。低頻度で起こるAEをにおける非劣性の検証には十分な説明を必要とするとされています。

Integrated Summaryは個々の研究結果を踏まえ、開発全体での安全性評価の要約を指します。要約の価値は個々の研究のデータと(おそらくバイアスの)制御の質に依存します。開発全体としてリスク-便益評価を行うだけでなく、個々の研究でのリスク・便益評価も必要とされます。

治験報告書での統計に関する記述はICH E3に従います。盲検解除前のデータ検証を行い、統計計画を再考し、統計計画に従う形で解析・報告します。被験者の除外、データの排除を行った場合には理由を詳細に説明します。統計結果は文書として説明し、必要に応じてテーブルやグラフを用いて説明します。臨床研究の結論に影響を及ぼす重要な値は文書中に記載し、説明します。治験報告書は統計専門家の承認を必要とし、統計専門家は治験報告書内の統計に関する記載に責任を持ちます。

臨床データベース(おそらく安全性のデータベースを指していると思います)の要約が承認申請に必要であるとされています。安全性用語・測定対象の定義は開発を通じて一貫したものを用います。一貫したものを用いることで、複数の研究を利用したメタ解析の実施も可能となります。測定時期や計画書からの逸脱の取り扱いなどの記録をデータベースに維持し、複数の研究をまたぐ統計解析(おそらくメタ解析を指しています)を行う場合には、手順をあらかじめ詳細に記載しておきます。複数の研究結果から情報を得ることで、頻度の低いAEについても検出できるようになります。安全性の要約として、投与期間・フォローアップを含めた生存分析を実施するとされています。