ICH S1C 発がん性研究の用量設定

ICH S1Cは発がん性の検証での用量の設定についてのガイドラインです。発がん性検証には最大耐性用量(MTD)やヒトでの一日最大用量を用いて検証されていましたが、MTDでは処方量が多すぎるため、3局で調和するためのガイドラインとして作成されたようです。

げっ歯類での用量は、ヒトで使用した場合の用量の余裕を持つこと(ヒトの最大用量より多い用量を用いるということだと思われます)、重篤な生理機能障害を生じないこと、ヒトと動物での研究結果を考慮すること、臨床使用時に危険が生じないことを説明できること の4点を考慮して決定することとされています。用量の設定にはマウス・ラットなどでの実施、オス/メスでの用量を振った試験の実施、投与経路を定めて90日以上実施すること、臨床使用を考慮した投与スケジュール、毒性プロファイルと用量限定毒性、代謝プロファイルや酵素活性の変化を考慮に入れる必要があります。用量決定のアプローチは7種あります。毒性から考慮する場合には、基本的にMTDを最大用量とします。薬物動態学から用量を決定する場合には、AUCを指標とします。AUCを指標とする場合には、動物とヒトでのAUCの違いを考慮に入れる必要があります。中・低用量での試験を実施するときには、吸収量の飽和を考慮に入れて用量を決めます。薬力学的に用量を決める場合には、用量は有効成分に依存して大きく異なることになります。低血圧・血液凝固抑制などを指標として用量を決めます。実施可能な最大用量として、食事量の5%を最大とする方法もありますが、基本的には選択しません。制限用量(Limited dose)を用いる場合には、1500mg/kg/dayを制限量とします。その他より良い方法があるならば、科学的に正当化できれば用量決定に使用可能であるとされています。