GCP省令 概要 2

GCP省令(Good Clinical Practice、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令)は薬機法に定められた医薬品の製造販売承認、医薬品の再審査、医薬品の再評価の際に必要となる、臨床試験の結果を得るための試験の基準について定めたものです。(2)は(1)の続きとなります。
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2章2節は自ら治験を実施する者による治験の準備についてです。ほぼ2章1節の治験を依頼する者による準備と同じですが、治験の契約の代わりに実施医療機関の長に提出する文書に依頼する場合の治験契約の内容を含むものになっています。

3章は治験の管理について定めたものです。やはり1節と2節で治験を依頼する者、自ら治験を実施する者による場合について書かれています。治験の管理として、治験薬の管理、委嘱文書の作成、効果安全性評価委員会の設置、副作用情報の取り扱い、モニタリング、監査、治験の中止、総括報告書、記録の保管についての方法が定められています。

治験薬の管理として、治験薬の容器に情報の表記を行うこと、治験薬と被験薬を識別可能にすること、治験薬についての記録(主に出納)を取ることが必要となります。治験薬は品質を維持できる形で包装して輸送し、治験薬の管理手順を実施医療機関に、治験薬の取り扱い方法を治験薬管理者に提出します。治験を依頼する者では治験薬を実施医療機関へと交付する必要があり、その際の管理方法についても定められています。

効果安全性評価委員会は治験の継続の適否・計画書からの変更についての評価を行う委員会です。効果安全性評価委員会は治験依頼者が設置し、審議に関する手順も治験依頼者が作成します。効果安全性評価委員会の審議の記録は文書として保管します。

治験実施中に観察された副作用情報は、実施医療機関の長に報告するとともに、厚生労働大臣への報告も必要となります。実施医療機関の長への報告は1年ごとに行い、治験薬概要書に記載がなく、予測できなかったものに関しては即時に通知を必要とします。副作用情報を得たときには治験計画書を改定します。

治験が計画書に記載された通り実施されていることを治験依頼者が確認することをモニタリングと呼びます。モニタリングはモニターと呼ばれる、モニタリングを行うものに委任できます。モニタリングにより計画書からの齟齬が見つかった場合には治験責任医師に報告し、モニタリング結果を治験依頼者に文書で報告します。

監査も治験依頼者により行われる調査の一つです。監査担当者は開発やモニタリング部門に属さない者である必要があります。監査後、監査担当者は監査報告書と監査証明書を治験依頼者に提出します。

治験計画書や治験契約の違反が見つかった場合には、治験の契約を解約し、治験を中止することができます。中止する場合には治験依頼者は速やかに実施医療機関の長に連絡し、臨床試験の成績を医薬品の申請に用いない理由を説明します。

治験が終了、中止した際には、治験依頼者は治験の総括報告書を作成します。治験記録は承認後もしくは治験完了後3年保存します。