GCP省令 概要 3

GCP省令(Good Clinical Practice、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令)は薬機法に定められた医薬品の製造販売承認、医薬品の再審査、医薬品の再評価の際に必要となる、臨床試験の結果を得るための試験の基準について定めたものです。(3)は(2)の続きとなります。
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自ら治験を実施する者による治験の管理は、治験薬の交付以外の項目はほぼ治験を依頼する者による管理と同様になります。治験薬情報の収集には差があり、治験薬の品質試験記録、入手数量・入手年月日、治験薬の処分の記録について入手する必要があります。自ら治験を実施する者による監査では、監査担当者が治験・モニタリングに関わらない者である必要があります(治験を依頼する者では治験の代わりに開発になります)。

治験を行う基準として、治験実施に必要な項目4つ(治験審査委員会、実施医療機関、治験責任医師、被験者の合意)について説明がされています。

治験審査委員会は実施医療機関の長による治験の審議の実施を行う期間で、実施医療機関の長自身が設置することもありますが、その他の非営利法人・団体が設置したものに審議の実施を行わせることもできます。治験審査委員会は倫理的・科学的観点から治験について審議が可能である、5名以上の委員からなります。委員には医学・歯学・薬学の専門的知識を有するものを含み、委員会の手順書・委員名簿・会議記録の概要を公表することとされています。委員とは別途で委員会の事務を行うものを指名します。

治験審査委員会の手順書として、委員長の選任方法、会議の運営、記録や記録の保存についての手順書を作成することとなっています。治験委員会での審議・採択のための会議には、治験依頼者の役員・職員、自ら治験を実施する者と密接な関係を持つ者、実施医療機関の長、治験責任医師、治験協力者などは参加できません。会議に参加しなかった委員には採択に参加する権利は無いようです。治験審査委員会では治験実施の可否についてあらかじめ審査を実施します。審査に関する契約を実施医療機関の長と委員会で結び、審査にしたがい治験の実施へと移行します。治験の審査は治験が1年以上に及ぶ時に年1回以上行います。更に、副作用情報、モニタリング結果、監査報告書を得た時にそれぞれ委員会に治験継続の可否について意見を聞きます。

治験審査委員会の責務は、実施医療機関の長に意見を聞かれたときに、意見を述べることとされています。この際の意見は治験計画書、被検者の募集手順、被験薬の品質・有効性・安全性、効果安全性評価委員会の資料、治験責任医師の履歴書に基づくものであるとされ、意見は文書として提出する必要があります。実施医療機関の長は文書として提出された意見を治験依頼者、治験責任医師に通達します。治験審査委員会が治験を中止すべきとした場合には、実施医療機関は意見にしたがい治験を中止します。

治験審査委員会の文書は、被験薬の承認後3年、もしくは治験中止・完了後3年のいずれか遅い方の期間、資料・文書を保存します。