ICH Q1E 安定性試験の評価

ICH Q1Eは安定性試験の評価についてのガイドラインです。主にリテスト期間・有効期限決定時における外挿の利用について記載されています。外挿とは、線形回帰などにおいて、最終時点での試験後の変化を回帰から予測することを指します。Q1Eでは外挿が利用可能となる条件を定めています。基本的には常温で保管する原薬・製剤のリテスト期間・有効期限決定を対象とします。

Q1Aに記載されている通り、リテスト期間・有効期限は最小3ロットの安定性試験結果で決定します。リテスト期間・有効期限の決定後には、すべての生産ロットでその期間は定まったものとなります。問題の発生を防ぐため、個々の結果のばらつきについて考慮する必要があります。

定量値(有効成分の含量)について、試験開始時の値が100%でないことはよく起こります。このような場合には安定性試験結果の補正が必要となります。定量値や物性の安定性については、物理的・化学的・生物学的な要素について検証します。物性の検証の一環として、重量の減少が起こらないことを確認します。各種要素の安定性が有効期限中十分に確保できるよう、リテスト期間や有効期限を決定します。

ガイドラインのAppendix 1(付録1)には外挿の使用、リテスト期間・有効期限の決定に関するフロー図が記載されています。量的な化学変化は一般的に直線回帰(一次式)で行い、可能な場合には外挿を用います。

期間決定の根拠となるデータは適切な形で示す必要があります。ガイドラインではテーブル、図、文章で示すことが推奨されています。結果の評価については文章で説明します。数値データはすべてのデータをテーブルなどの形で示します。統計を用いいる場合には、用いた統計の手法、解析結果について適切に示します。

外挿の適用には、加速試験で物性、定量値等に変化がないことが条件となります。変化がないことは統計解析により示します。外挿の適用に問題がないことについては長期試験での確認で担保します。統計解析は基本的には上記のように直線回帰を行い、95%信頼範囲と規格からリテスト期間・有効期限を決定します。適切な統計解析の実施を行うことができるよう、統計を考慮して試験デザインを決定します。

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