ICH Q1D 安定性試験におけるBrancketingとMatrixingについて

ICH Q1Dは安定性試験におけるBrancketingとMatrixingについてのガイドラインです。BrancketingとMatrixingは共に試験を部分的に省略する方法で、特定の状況において正当化できれば、安定性試験の試験デザインとして利用することができます。有効期限やリテスト期間の決定に使えますが、使用する場合には正当化するための説明が必要となります。Blancketingは極端な条件のみの試験を実施する方法で、有効成分の試験には利用できません。正当化する場合には、製品の安定性、結果のばらつきの度合いについて考慮し、説明する必要があります。BrancketingとMatrixingを同時に用いることもできますが、十分な理由が必要となります。

Brancketingは極端な条件のサンプルのみを対象とし、安定性試験を実施する方法です。サンプルの因子として、含量や包装形態などの条件を持ちます。この因子には、極端な条件であると判断できることが必要となります。Brancketingの適用が可能な含量、包装には条件があります。含量違いへの適用には、処方が同じ、もしくはほぼ無視できる程度の差しかないことが条件となります。包装の場合、包装資材等は同じで、包装のサイズや、内容量の差がない場合に適用可能となります。Brancketingを実施した場合、途中である含量を販売しなくなると試験デザインとしてBrancketingでなくなるリスクが存在します。この場合でもBrancketingの試験を続けることはできますが、十分に正当な理由が必要となります。有効期限への影響については十分な検証が必要です。

Matrixingはすべての因子の組み合わせで試験を実施しつつ、試験数を減らす試験デザインです。因子にはロット、含量、包装形態などが含まれます。2次包装が安定性に貢献する場合には、包装として用いることができます。Matrixingの適用においても、含量、包装の種類に条件があります。含量違いへの適用には、処方が同じであるなどの条件が必要となります。十分に正当化するだけの理由があれば、製剤に使用する添加剤が異なっていても適用は可能です。包装資材に関しては、透湿性・透明性が同じであることが条件となります。Matrixingでは、最初と最後の時点での試験は全条件での試験を必要とします。中間の時点での試験は省略可能です。承認申請前に長期試験が完了しておらず、引き続き安定性試験を実施する場合には12ヶ月までのデータをすべて取っておく必要があります。加速試験・中間的試験では3時点以上の結果を得ておく必要があります。安定性試験の結果のばらつきが十分に小さい場合にのみMatrixingの適用が可能となります。

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