固形経口製剤の製造: 打錠

固形経口製剤の製造のうち混合物を圧縮成形して錠剤の形とする工程である、打錠についてまとめています。通常は回転式打錠機という機械を用いて、2つの杵(上杵、下杵)と臼(上下に貫通した穴があり、上杵、下杵が上下から圧密するものです)を用いて圧縮成形します。錠剤の重量や有効成分の均一性などを決定する重要な工程となります。

回転式打錠機は杵や臼を回転させ、混合物を臼に供給しつつ圧密する機械です。1回転で40-70錠程度の錠剤を打錠し、回転盤は1分間に30-70回転程度回る仕組みになっています。錠剤重量や打錠時の圧力、圧密する粉体の量などを調製しつつ打錠することになります。

杵や臼は錠剤を圧縮成形するもので、臼で周縁の形状を、杵で表面の形状を決定し、上下の杵を上下から圧縮することで打錠します。杵には許容圧があり、許容圧の範囲内で打錠する圧力を決定します。

打錠では打錠障害と呼ばれる、品質に起こる問題が発生することがあります。この打錠障害のうち、スティッキングやバインディングは典型的なものの一つです。共に杵や臼に粉体が固着し、錠剤に固着した粉の型が残ります。打錠障害は杵臼の表面処理や滑沢剤混合の状態、打錠速度などによりその発生の割合が変化します。

打錠圧力は打錠杵を上下から押す圧力のことです。同じ杵、同じ厚みで錠剤を打つ場合、打錠圧力が大きくなると通常錠剤重量は多くなる傾向にあります。打錠圧力のばらつきは錠剤重量のばらつきを反映します。打錠圧力が高いと錠剤は固くなり、崩壊、溶解しにくくなります。

錠剤の質量は錠剤の処方を決定する重要な要素であり、医薬品製造販売承認書にも記載される重要なパラメータの一つです。錠剤質量に対する処方量が厳密に決められているため、打錠圧力などを調製し、規格に従った質量とすることが重要となります。錠剤の硬度も重要となり、硬度が低いと皮膜工程や包装・輸送時に欠けることになります。