ICH E9 臨床研究における統計解析 6

ICH E9は臨床研究における統計解析の原則に関するガイドラインです。6では検定の調整、データ取り扱い、評価項目と評価対象についてまとめています。

多重比較の問題が発生する場合(主要項目が複数ある場合、繰り返し解析、中間解析がある場合)には、多重比較の手法に基づいた第一の過誤の調整が必要となります。確証的研究では多重比較となる部分を示し、調整法を説明する必要があります。主要項目の変化が観察された場合、その変化は治療のみではなく、サブグループ(対照群内での部分群、年齢や性別など)、相互作用などの影響を受けます。相互作用などが観察された場合の治療以外の効果の調整法、層別化解析の方法などは計画書にあらかじめ定めておきます。

データ解析の信頼性を担保するために、データ取り扱いの方法を適切に定めたりソフトウェアのバリデーションを行う、データインテグリティが重要となります。ソフトウェアの信頼性を確かめるバリデーションの方法は手順として定めます。

治験の評価において、安全性と忍容性の検証はすべての治験において重要となるとされています。開発初期には探索的に、後期には確証的に安全性と忍容性を調べます。安全性における優越性や同等性を検証できる研究デザインを採用し、安全性の忍容性を評価します。安全性と忍容性の評価項目は、類似医薬品のAEとの比較、非臨床・臨床結果、動態、投与方法、対象患者群、研究の期間などを考慮して決定します。通常、血液・臨床化学・バイタルサイン・AE(Adverse Effects、危害事象)を評価項目として記録するようです。AEの記載にはAE時点やMedDRA(ICH M1)に従った用語を用います。評価対象となる患者群は最低1度でも治験薬を摂取した被験者となります。AEについては治療に関係する/しないに関わらず可能な限り徹底的にデータを収集し、特殊集団におけるAEの発生についても解析します。AEの発生は通常全被験者に対する割合として示しますが、暴露患者数や投与期間の影響を受けます。何をAEのリスクとして評価するのか、適切に計画書で定義しておきます。