日本薬局方-一般試験法 6.12 粘着力試験法

粘着力試験法は貼付剤に適用する、粘着力を測定する試験のことです。方法はいくつか設定されており、試験はすべて24℃付近で行います。試料は試験温度に合わせるため、あらかじめ24℃付近で12時間放置します。粘着面にホコリが付かないよう、触れたり、異物の接触を起こさないよう注意します。

ピール粘着力試験法は、試料を板に貼り付け、180°、または90°方向に剥がすときの力を測定する方法です。試料を板に圧着装置を用いて貼り付けます。試料を貼り付けた板を試験装置に固定し、試料を約5mm/秒の速度で剥がします。最初の25%を剥いだ後、残りの50%の長さを引き剥がすときの力を測定することで、貼付剤の粘着力を測定します。

傾斜式ボールタック試験法は、斜面に粘着面を表にして置き、ボールを斜面上で転がして粘着力を測定する方法です。傾斜は30°で、300mm以上の長さが必要です。ボールとしてステンレス製のベアリングボールを用います。サイズは様々なものを用います。試料は幅10mm、長さ70mm以上に切断し、粘着面を表にして斜面上に置きます。ボールを転がしたとき、粘着面で停止した最小のボールサイズを粘着力とします。

ローリングボールタック試験法は傾斜式ボールタック試験法とほぼ同じですが、ボールのサイズではなくボールが停止するまでの距離で粘着力を測定する方法です。斜面は21.5°の傾斜面で、直径11.1mmのボールを用います。試料は斜面の下の平面に粘着面を表にして設置し、ボールを転がします。ボールが停止するまでの距離が粘着力を反映します。

プローブタック試験法はプローブと呼ばれる棒に試料を貼り付けて、粘着面とプローブを剥がすときの力を直接測定する方法です。プローブと粘着面は10mm/秒程度の速度で接着し、0.98N/cm2の力で1秒押し付けて貼り付けます。10mm/秒の速度でプローブを粘着面から引き剥がし、そのときの力を測定します。

試験装置を用いて粘着力を正確に測定するため、日局には装置の洗浄方法が設定されています。装置は基本的に有機溶媒または水で洗い、糸くず・ホコリが発生しないよう留意します。アセトンやブタノンで乾燥するまで拭き上げます。洗浄後、10時間以内に測定することで、時間経過によるホコリの吸着の影響を排除します。