統計の基礎10 共分散分析

統計の基礎10では、要因が2つ以上あり、1つの要因が連続値である場合の平均値の差の検定である、共分散分析について説明します。共分散分析は通常、2個以上の要因で検証した散布図において、直線性の傾きや切片が統計的に有意に異なっていることをしめすために用いられます。2変数に直線関係があり、その関係がもう1つの因子により影響を受けるような場合には、傾きに差がある場合、切片に差がある場合、両方に差がある場合と様々なパターンが考えられます。

共分散分析では、まず平行性の検定というのを行うとされています。この平行性の検定は二元分散分析における交互作用とほぼ同じものを表します。平行性の検定(傾きに差があるかどうか)において、傾きに差があると、要因間でどちらが大きいと言えるのかわからなくなる、という点は二元分散分析の交互作用とほぼ同じです。共分散分析では平行性の検定の後に差の検定を行います。この差の検定は切片の検定に当たります。

共分散分析においても、二元分散分析と同様に分散分析表を書いて、分析を行います。分散分析ですので、一元や二元の分散分析と同じようにF値を計算し、F値とF分布からp値を計算します。結果のp値は3つ計算されることとなり、それぞれ傾きが0でないことの検定、傾きの差の検定(平行性の検定)、切片の差の検定となります。いずれにおいても、通常第一の過誤を0.05に設定し、それぞれの帰無仮説(傾きは0に等しい、傾きの差はない、切片の差はない)を棄却できるか調べ、差が有意であるかどうか示します。