添加剤: 甘味料など

甘味料は少量で強い甘みを感じる物質を指します。医薬品ではアドヒアランス(服用を続けること)の維持を目的として特に小児向け医薬品に加えられます。代謝される白糖を用いるものもありますし、代謝されないタイプの合成甘味料も用いられます。口腔内崩壊錠やシロップ剤に、香料と共に用いることが一般的です。糖衣錠ではその名の通り、白糖をコーティングに用います。

甘味料には少量で甘味の非常に強いもの(アステルパームスクラロースサッカリンなど)と比較的甘味の弱いもの(白糖、エリスリトール、キシリトールソルビトール)があります。前者は直接甘味として、後者は別の効果を考慮して使用することがあります。

アステルパームフェニルアラニンアスパラギン酸メタノールから合成する、薬添規記載の甘味料で、砂糖の200倍程度の甘みを持ちます。アステルパームは生体内で代謝され、エネルギーとなります。スクラロースは更に甘みが強く、砂糖の600倍程度の甘味を持ちます。スクラロースは生体内で代謝されません。サッカリンアステルパームスクラロースの中間程度の甘みを持つ、ベンゼン環からなる甘味料です。近年は使用されにくい印象があります。

エリスリトールは糖アルコールの一種で、砂糖よりやや弱い甘味を持ちます。溶解熱がマイナスなので、溶けたときにひんやりした感触を与える効果があります。キシリトールは砂糖と同等の甘みを持ちます。キシリトールは生体内で代謝され、エリスリトールと同様のマイナスの溶解熱を持ちます。ソルビトールバラ科植物が合成する天然成分で、砂糖の60%程度の甘みを持ちます。糖アルコールはどれもマイナスの溶解熱を持ちます。

白糖は局報記載のグルコースとフルクトースの2糖(スクロース、砂糖)です。甘味料としては安価で最も一般的なものですが、甘みを感じるためにはそれなりの量を必要とします。主に糖衣やシロップ剤などに用いられます。

甘味料と同様に、香料もアドヒアランスを高めるためにもちいられます。やはり口腔内崩壊錠やシロップ剤など、口の中に維持する製剤に使用されます。通常は甘味料と同時に使用されます。メントールはハッカやミントの香りの元となる物質で、dl型とl型の2つがあります。揮発性物質で、数ミリメートルほどの大きめの結晶となります。非常に強い冷感を引き起こす効果を持ちます。バニリンはバニラの香りの元となる物質で、通常は化学合成されたものを添加剤として使用します。メントールやバニリンの他にも多種多用な香料があり、アドヒアランス向上のために用いられています。