ICH M9 バイオウェーバー 1

ICH M9はバイオウェーバーについてのガイドラインです。バイオウェーバーは医薬品の溶出特性で同等性試験を代替する方法を指します。in vivoの同等性研究を減らし、in vitroのデータで血中濃度の同等性を評価できる方法を提供します。

バイオウェーバーでは、まず有効成分を溶解性と膜透過性により4クラスに分類します。即放経口剤のうち、クラス1(溶解性も膜透過性も高い)とクラス3(溶解性が高く、膜透過性は低い)の有効成分を持つものがバイオウェーバーの対象となります。塩となる金属が異なっていてもバイオウェーバーの対象とすることが出切る場合もあるようです。エステルや異性体間でのバイオウェーバーはできないとされています。プロドラッグはプロドラッグのまま吸収されるのであればバイオウェーバーの対象にできます。

クラス分類における溶解性の評価は、pH1.2~6.8、37℃で250mlに完全に溶けるかどうかであるとされています。最低でも3つのpHで評価し、最も溶解性の低いpHでの状態で評価します。吸収が起こるとされる時間スケールでの溶解性を評価し、測定は最低3回繰り返します。膜透過性はヒトでの薬物動態研究殻表あkし、バイオアベイラビリティが85%以上のものを膜透過性が高いと評価します。評価には酸化物や抱合体を加えた値を用いることができます。バイオアベイラビリティの値は文献から推定しても、Caco-2細胞での膜透過性試験で評価してもよいとされています。膜透過性評価では、消化管内での有効成分の安定性も重要な要素となり、消化管内液を模した液中において37℃で10%以上分解しないことを確認しておく必要があります。

バイオウェーバーの適格性として、最高用量の同等性試験を実施した場合に、他の用量でバイオウェーバーを用いることができるとされています。水で服用する製剤のみに適用可能で、バッカル錠や舌下錠は対象となりません。添加剤にも適格性条件があり、添加剤に差がある場合にはバイオウェーバーを行う正当な理由が必要となります。特に糖アルコールや界面活性剤の吸収への影響を考慮します。皮膜や微量の成分は無視できる場合が多いとされています(このあたりは処方変更の生物学的同等性試験と類似していると思います)。
xjorv.hatenablog.com