ICH S7B QT間隔延長の評価 1

ICH S7Bは安全性薬理学(Safety Pharmacology)研究の中の、QT間隔延長(心電図における、Q点とT点と呼ばれるチャート上の位置の間隔が伸びることを指します)に関する評価についてのガイドラインです。心室での再分極遅延、催不整脈リスクについての検証として、心電図におけるQT間隔の延長を評価することについて記載されています。

心室の再分極遅延は、イオンチャネル・トランスポーターの活性(チャネルは特定のイオンだけを通す穴、トランスポーターはエネルギーを使用して特定のイオンを汲み出すポンプのようなものを指します)、細胞内外のイオン濃度や膜電位(汲み出されたイオンなどの勾配により、細胞膜内外で電位が発生します)、自律神経・細胞間の電気的カップリング、心拍数、心筋の代謝の状態など、様々な生理学的応答の結果として発生し、不整脈を引き起こす原因となります。

心臓の活動電位は、Na流入による活動電位の増加、Naチャネル不活化とKチャネルによる再分極開始、Ca流入とKの再分極による最大活動電位、活動電位の低下とK流出による再分極、K流入による静止電位の5段階で起こると記載されています。特にKの再分極がQT間隔に重要な影響を及ぼすようです。

S7Bの事項についてはS7Aに従い研究を実施します。in vitro/vivoの両方での研究を必要とし、個々の有効成分についてリスクを評価します。研究はGLPに従い実施します。

実験系・実験デザインは、単離心筋細胞でのイオンの移動、単離心筋細胞での活動電位・麻酔動物での活動電位遅延、麻酔・非麻酔動物での心電図パラメータ、単離心筋・動物での催不整脈性を検証することを目的として構築します。