ICH S6 生物学的製剤 Part2: 前臨床での安全性評価 追補 2

ICH S6は生物学的製剤の臨床前安全性評価についてのガイドラインです。Part2にはPart1への追加事項について記載されています。2では免疫原性、生殖・発生毒性、発がん性についてまとめています。

生物学的製剤はその製剤を対象にした免疫反応を誘導することがあります。このような免疫反応の誘導を引き起こす性質を免疫原性と呼びます。免疫原性では、動物実験での結果が必ずしもヒトでの結果を反映するものとなりません。薬力学的変化、薬力学的マーカーのない状態での暴露状況の変化、抗体産生を示す兆候が見られた場合には、抗体産生を検証することになります。

生殖・発生毒性に関しては基本的にはS5に従い研究を行います。種に対する特異性、薬理活性等による実験系の最適化が必要となります。他の毒性試験と同様に、薬理活性のある動物を使用することが望まれます。通常はげっ歯類とウサギでEFD(Embryo-Fetal Development、胚・胎児発生)を検証します。薬理活性のある動物がいなければ、形質転換体の使用を検討します。生殖能力の検証には通常ラットかマウスを使用します。霊長類以外に薬理活性のある動物がなければ、霊長類で最低3ヶ月の研究を行い、懸念があればさらに研究を行い懸念点を明確にします。試験製剤のホモログ、形質転換体の使用による検証の実施により懸念点を検証します。胎盤を通じた有効成分の移動があるかどうかにより、EFDとPPND研究の検証系が異なります。通常はEFDとPPNDを合わせた研究(ePPND、Enhanced PPND)を検討するようです。自然分娩での検証を行います。霊長類を使用する場合には正当化の理由を必要とします。生殖毒性研究の時期はM3に従います。

発がん性研究の必要性は患者の性質と治療期間に依存します。有効成分の発がん性リスクはすでに得られている情報から検証し、根拠がなければ非臨床試験は必要なく、あれば実施すると記載されています。